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インターセックス

第16章 東尋坊からの再出発 (最終章)

 夕日が沈み掛けている。
「見て、ほら、すばる。夕日が綺麗よ」
3人で並んで海を眺める。
「綺麗だね、海」隆一が言う。
「確かに綺麗な景色だわ」すばるも遠くを見つめながら言う。
「綺麗よね。私、この景色見て勇気がわいてくるの。もう少し頑張って見ようって」
 夕日が海に沈みかけ水平線が茜色に染まっている。
「ほんと、綺麗だわ。夏音先輩の横顔も素敵です」すばるが私の横顔を見つめてる。
「やだー、見ないでよ。海見て、ほら、あっち」海を指差す。
隆一が二人を見て微笑んでいる。

「バイトの時に叔母さんから聞いた話しなんだけど、私の名前、お母さんが付けてくたらしいの。生まれた私を見て観音様みたいだって。観音様って性別が無いのよ。それで夏音て……」
「へー、観音様から夏音なの、全然わからなかった」

 隆一が沈みかけた夕日を指さし、
「ほら、夕日がもうすぐ沈んじゃう。写真撮ってあげるから、そこ並んで」
隆一がスマホを取り出しカメラを構える。
「うれしー、先輩と、こんな綺麗な場所でツーショットなんて」
すばるが私の顔を潤んだ目で見上げている。
少し、嫌な予感がした。
すばるが私を抱きしめてきた。
思わず仰け反る私にすばるが口を突き出してくる。
嫌な予感は、当たった。
「先輩! キスして」
「えっ、ここでかい? だめ、私そう言うのだめ……」
すばるの尖った口がぐいぐい私の唇に近寄る。
「あぁっ、だめ、だめだつうのに。……ちょっとだけにして」
スマホを構える隆一が呆れる。
「マジかよ?」
スマホシャッター音。
スマホ画面に沈みゆく夕日をバックに重なり合う私とすばるのショット写真が写る。

 「終わり」
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