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ヌードモデルとセクシーCM

第2章 準備された裸


田中さんによれば、そのCMは何が映っているか一瞬ではわからないという。

砂丘にできる風紋のような曲線の重層──それが女性の脚なのだ。

一人のシルエットならすぐにそれとわかるのに、何人もが図形的に並んだのを浅い角度から撮っているから、緻密な模様にしか見えないのだ。

そうやって表現したいのは、ほろ酔いのいい気分で見る男の夢の世界だ。

つまり、これは日本酒のコマーシャルなのだ。

その美しい酒池肉林?をかすめて、サラリーマン風の男性がグラスや桝(ます)に乗って遊覧飛行する──それが実際のオンエアーだった。

はっきり言えば、現在ならアニメかCGで完全に再現できる。
当時だって、特撮技術は成熟していたはずだが、あえて複数のヌードモデルを使ったというのは、どういうこだわりだろうか。

なお、これは推測ではなく、撮影現場を取材した当時の週刊誌にはっきり書いてあったということだ。

実際にその記事を読んだ田中さんは、全員オールヌードになって撮影に臨んだ、という記述に興味を惹かれた。

下半身しか映像に使わないのに、わざわざすすんで全裸になるものだろうか?

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