テキストサイズ

森の中

第3章 3 キス

 (変わった女だな)

寝た後にしつこくされることは多々あったがこんな風にさっさと帰る女も珍しいと冬樹は思った。また今まで抱いた女とも違い快感への余裕のなさが冬樹に強い印象を残す。妻も含め冬樹の知る女たちは快感に余裕があった。たとえ絶頂に至ろうが自分自身をよく見せたいという無意識の自意識を感じることが多かった。ひどい女になると何かする前から感じている演技を始める。

 帰って行った女の快感へののめり込み方は自我を失っているように見え、自分の腕の中で燃え尽きてしまうのではないかと思うほどだ。
 冬樹自身もそんな女の官能に引きづり込まれそうになり我を忘れるところだった。

(また来週か……)

感じている表情を観察すればするほど妻とは似ていないという実感に少し安心感を得てロッキングチェアをゆっくり揺らした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ