森の中
第5章 5 山を下りて
女が今週は来ないというので冬樹は市立病院に入院している知人の岸本健吉を見舞うことにした。歳の近い岸本は冬樹と同じく林家ではあるがほとんどの作業を林業組合に委託している。ところが久しぶりに枝打ちに手を出し、なかなか高い木から落ちて腰を打ったらしい。
幸い軽い打撲程度で済んだが、久しぶりの山仕事で気が抜けていたことを反省していた。林業は肉体労働が主で油断すると命の危険もある。その割に実入りの少ない仕事だった。
「 山なんか持っててもなんかいことあるのかねえ」
「さあね。あるのが当たり前だったからな」
「お前は手入れマメだよな」
「 山が好きだからさ」
「そろそろ再婚しないか?」
「そんな物好きいないだろ」
「男盛りなのにもったいねえな」
「どうだかな」
「いっちょソープいかねえか。再来週あたりさ」
「腰が治ったら、おごるよ」
暇そうにベッドで転がっている岸本とたわいもない会話を少しかわしてから病室を出た。
幸い軽い打撲程度で済んだが、久しぶりの山仕事で気が抜けていたことを反省していた。林業は肉体労働が主で油断すると命の危険もある。その割に実入りの少ない仕事だった。
「 山なんか持っててもなんかいことあるのかねえ」
「さあね。あるのが当たり前だったからな」
「お前は手入れマメだよな」
「 山が好きだからさ」
「そろそろ再婚しないか?」
「そんな物好きいないだろ」
「男盛りなのにもったいねえな」
「どうだかな」
「いっちょソープいかねえか。再来週あたりさ」
「腰が治ったら、おごるよ」
暇そうにベッドで転がっている岸本とたわいもない会話を少しかわしてから病室を出た。