森の中
第7章 7 変化
山小屋のドアをノックする。少しだけ優しい目をしている冬樹が立っていて「どうぞ」と中へ促した。
「失礼します」
瑠美は冷たい外気から暖かい部屋の心地よいぬくもりにほっとしてジャンバーを脱いだ。
冬樹はペーパーフィルターで入れた香りのよいコーヒーを二つ持ってきてテーブルに置いた。磁器のマグカップはよく使いこまれているようで描かれた野ばらはかすれている。
「ブラックでも平気?」
「はい。ありがとうございます」
山の香り、木の香り、コーヒーの香り。色々な香りが漂っているのにバッティングせずマッチングしていることに自然の大らかさを感じる。
「お母さんの調子はどう?」
「特に変わらず小康状態です。あと数か月だなんて嘘みたい」
「そう」
瑠美は自分のことを冬樹に知られ、どうすればいいか分からなくなっていた。知られなければきっと今日も前と同じように身体だけを重ねて委ねて喘ぎ、帰って母に会う日だったろう。
言葉に詰まっていると冬樹がマグカップをコトリと置いて聞いてくる。
「何もしなくてもいいし何かしてもいい。君はどうしたい?」
身体がかあっと熱くなり瑠美は薪ストーブの炎を見やった。
「失礼します」
瑠美は冷たい外気から暖かい部屋の心地よいぬくもりにほっとしてジャンバーを脱いだ。
冬樹はペーパーフィルターで入れた香りのよいコーヒーを二つ持ってきてテーブルに置いた。磁器のマグカップはよく使いこまれているようで描かれた野ばらはかすれている。
「ブラックでも平気?」
「はい。ありがとうございます」
山の香り、木の香り、コーヒーの香り。色々な香りが漂っているのにバッティングせずマッチングしていることに自然の大らかさを感じる。
「お母さんの調子はどう?」
「特に変わらず小康状態です。あと数か月だなんて嘘みたい」
「そう」
瑠美は自分のことを冬樹に知られ、どうすればいいか分からなくなっていた。知られなければきっと今日も前と同じように身体だけを重ねて委ねて喘ぎ、帰って母に会う日だったろう。
言葉に詰まっていると冬樹がマグカップをコトリと置いて聞いてくる。
「何もしなくてもいいし何かしてもいい。君はどうしたい?」
身体がかあっと熱くなり瑠美は薪ストーブの炎を見やった。