テキストサイズ

Melty Life

第3章 春


 確かにゆうやの話す通り、テラスには一年生の少女達がいた。校則ギリギリの、いや、アウトの、派手な四人組だった。

 その少女達があかりの不名誉な捏造話を言い触らしたことを、話題にしていたらしい。と言うより彼女達の話しぶりから、標的があかりである可能性が高かったらしい。ゆうやに言わせてみれば、あかりも十分に目障りだが、陰でこそこそしている人間は、もっと目に余る。居眠りしている振りを決め込んでいたところ、千里の名前まで出てきて、堪忍袋の緒が切れたというのが、昼間ゆうやが体験した一部だ。


「万が一、あのガキがお前にマジだったとするぞ。認めねぇ。面白半分で他人をとやかく言うヤツに、まともなヤツがいるか」

「分かったよ。それにしても珍しいね。ゆうやは、いじめ現場だって放っておくのに」

「んなモン、気まぐれだ。まぁ宮瀬は、一応、花崎さん狙ってんじゃん。俺が放っておいたら、競争相手、蹴飛ばしたみたいで後味悪いっつーか」

「結局、本人泣かしちゃったけどね。空気読めないで」


 千里が笑ってやると、ゆうやは黙り込んだ。何も言い返してこない。決まり悪そうな顔に落ちた沈痛な色が、段々、深みを増していく。


「ごめん、ゆうやなりに宮瀬さんを元気づけようとしたんだよね。ゆうやの、そういう正々堂々としたとこ、俺は好きだよ」

「……違」

「え?」

「違うん、だよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ