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Melty Life

第5章 本音









「貴女を守る、守ります。しつこくて恐縮ですが、もう一度、いえ、答えをもらえるまで言わせて下さい、好きです……!!」


「…………っ」



 ずっと見てくれていた。

 怯えてばかりいた。ありのままの自分を出せば、周囲は水和を弾き出す。だからと言って素顔を隠してまで周りに歩み寄ったところで他人との距離のとり方も知らない水和は、結局はみ出る。

 そして何も信じなかった。期待しなかった。
 誰かが声をかけてきてくれるまで待っていながら、自分から動いたことはなかった。言葉も閉ざして、胸の内も大事に仕舞って。…………


 そんな水和のあの頃を、来須はずっと見てくれていた。


 情けないほど不器用で、不器用が功を奏してか、生きたいようにしか生きられないのだと踏みきれたあとも、ずっと見てくれていた。



「わた……っ、私、……」



 来須との仲を誤解した咲穂には、気の毒だ。
 水和が彼女の恨みを買ったせいで学校にいられなくなったのは事実だが、今しがたの来須のやり方では、今後、彼女の居場所がなくなるだろう。生徒代表としての周囲の心象を見切ってまで、水和のために時間を使ってくれた来須にも、身が縮こまる思いがした。

 それでも、気づいた。

 あれだけ強くあかりに惹かれていながら、水和が決心出来なかったのは、きっと来栖のような人を求めていたから。


 ずるくても情けなくても臆病でも、全て分かってくれる人。何一つ偽らなくて良い、それすら肯定してくれる人。

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