テキストサイズ

Melty Life

第2章 初デート



 これが自然な感覚か、と、千里は妙に冷めた思いで、この状況を客観視していた。

 ゆうやは目立たないわけではない。授業中のグループワークであぶれるほど、孤立しているわけでもない。
 しかしゆうやと交流する生徒達は、心のどこかで彼に逆らえないと心している感じがあるし、そのクラスメイトらはゆうやに対して善人でも、親身になって怒ったりはしない。


「じゃあさ、笹川さんが、あいつに釘刺しておけよ。花崎さんをいじめるなって」

「それで分かりました、っていうような人なら、今頃金髪やめてると思う」


 何故、自分は親友がここまで思われて、何も言い返せないのか。

 千里がそろそろ自分自身に苛立ちを覚え始めた頃、衣川達が走ってきた。台詞を書き換えたシーンを今から演るから、もう一度チェックしろということだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ