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数珠つなぎ

第4章 あなたたちを助けたい

「今週末……帰って来れないか?」

兄ちゃんからの突然の電話に驚きつつも『わかった』と返事をした。


大学の進学と同時に実家を出て、1人暮らしを始めた。

たまに母ちゃんから連絡はあったけど、家からもさほど遠くない距離に実家もあって、いつでも帰れるって思ったら、年末年始ですら顔を出さなかった。

だから兄ちゃんの誘いは、帰る機会を失っていた俺にとっては助かった。


父ちゃんも母ちゃんも元気にしてるかな?


バイト先に連絡して休みを貰い、車で実家へ向かった。

「ホントに俺もいいの?」

「大丈夫だって。うちの家族、賑やかなのが好きだから」


助手席には俺の恋人……潤。


大学で知り合って、意気投合して一緒に過ごすうちにいつの間にか恋に落ちていた。


それは潤も一緒で、2人の距離を縮めていくのに時間はかからなかった。


でも、俺たちは普通の恋人じゃない。


『男同士』という厚い壁がある。

外で他のカップルみたいに過ごす事は出来ない。


だからバイトや大学以外では、互いの家で過ごすことが増えた。

家でなら堂々と恋人同士でいられる。

そして自然の流れで同居するようになった。


それも相まって、実家へはすっかり足が遠のいた。


「よし、着いたよ」

車を降りて俺の家を見つめる。

「雅紀んち、お店やってんだ」

俺の家は飲食店を経営していて、自慢じゃないけど結構美味い中華屋だ。

「あれ?今日、休みなのかな?」

店の入り口のドアには【CLOSE】の看板。

「雅紀が帰ってくるから、休みにしたんじゃない?」

「そうなのかなぁ?」

いつもと少し違う実家の雰囲気を不思議に思いつつ、ドアを開けた。


その瞬間、なぜか埃が舞う。


いつも店内だけは綺麗にしろって、父ちゃんが口酸っぱく言ってたのに……


「ただい、うっ……何だ、この臭いっ」

入った途端に鼻をつく嫌な臭い。

店から自宅へと繋がる廊下を進むと、よりその匂いは強烈さを増す。

「ねぇ、母ちゃんこの臭い……」

リビングに入ったとき、臭いの根元を目の当たりにした。

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