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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第9章 彼氏だけど…

あたしはなんとか起き上がり、着替えを持ってバスルームへと急いだ。



まだ早朝で廊下はしんと静まっている。



バスルームへ行くと誰もいなかったので、急いでシャワーを浴びて着替えた。



髪を乾かして洗面所へ移動し、歯を磨く。



朝食まではまだ時間があるから急いで部屋へ戻ろうとした。



だけど…



「あっ…!」



体がまだ思うように動かず、ふらついて転びそうになった。



「おいっ!」



あたしの腕を引っ張って転ぶのを防いでくれたのは、悠樹くんだった。



「あ、おはよう。ありがとう」



「どんくせー」



悠樹くんはTシャツと短パン姿で派手な寝癖をつけている。



「く…ふふ、すごい寝癖」



思わず笑ってしまった。



「うるせーな。お前こそシャンプーの匂いさせやがって今風呂かよ?」



「う、うん…」



「まさかお前、昨日あの服着たまま寝たんじゃねぇの?」



ドキッ…



正確には脱がされて寝たのだけど、そんなこと口が裂けても言えない。



「昨日疲れちゃって、うっかりしてた。今度から気をつけるね」



あたしが笑顔で返すと、悠樹くんはなぜか顔を赤くした。



「いや、別に…俺に言われても」



「悠樹くん、気を使って言ってくれたんだよね。ありがとう」



「は?違うし…誰もお前のことなんか考えてねえよ。なんだよ。あんまり見るなよ」



悠樹くんの顔はますます赤くなった。



本当に女の子が苦手なんだなあ。



兄弟でこんなに違うなんて…






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