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愛が、メロディにのって

第1章 愛が、メロディにのって

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 「それでひとつ
  お願いがあるのですが」
 「はい」
 「ショパンのノクターン20番嬰ハ短調の
  さわりの部分だけでも
  弾けるようになりたいんです」
 「お弾きになりたいのは
  この部分ではありませんか?」
 わたしは、あの有名な旋律を弾きました。
 「そうです
  先生すごいですね」
 「えっ」
 「ショパンの全曲を
  覚えているんですか?」
 「いえ
  この曲は
  わたしが一番好きな曲なんです」
 「そうですか
  私も一番好きなんです」
 いま弾いたメロディを弾くのはそんなに難しくはありませんが、コンクールや演奏会で弾くには、とても難し曲ですと説明しましたら、そのメロディだけでいいです、2小節か3小節でもいいですと言いました。
 でも、鍵盤を押さえる練習だけはしてくださいと言うと、
 「はい」
 「いつから
  始めますか」
 「次の水曜日からで
  いいでしょうか」
 「はい」

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