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愛が、メロディにのって

第1章 愛が、メロディにのって

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 「私は
  滝川といいます
  滝川望です
  学習塾を経営しています」
 「わたしは
  宮本百合です」
 「よろしくお願いします」
 「こちらこそ
  弾けますように
  精一杯お手伝いします」
 望さんは、熱心に通ってきました。
 はじめはたどたどしかった鍵盤の押さえかたも、いまではすこしスムーズにできるようになってきました。
 望さんが、音楽が好きだということも、よくわかりました。
 チャイコフスキーやワルツなど、メロディのきれいな曲が好きだと言いました。
 わたしと同じでした。
 わたしと望さんは、音楽以外でも、好きなものが同じということが、たくさんありました。
 そんなある日、小学三年生のなつみちゃんが怪我をしました。
 よそ見をしていてピアノの蓋を閉じたので、指を挟んでしまったのです。
 ウワーンと泣き声がしたので見ると、なつみちゃんの左手から血が床に垂れています。
 救急車と誰かが叫びましたが、
 「いや
  この先の服部外科がいい
  救急車は
  連絡したりして
  時間がかかるし
  総合病院に行く」

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