
ぼっち─選択はあなたに─
第4章 男の正体
「バット!」
「ああ、任せろ!」
銀髪の青年が洞窟の入り口で待っていた男の名を呼ぶと、バットと呼ばれた男は火のついた松明を追いかけてきた黒い影に投げつけた。
「ぎゃあああっ!」
黒い影はのたうち回り、すぐに海の中へと逃げていく。
「ちっ、逃がしたか」
バットは悔しそうな顔をすると、ヒカルのもとに歩み寄った。
「君、大丈夫?」
「あ……はい……」
バットはニコリと微笑む。
「俺たちが来たから良かったものの、こんなところにいたらシャドーに食べられてしまうよ」
「……あの、シャドーって……」
「あれ、知らない? シャドーは生き物を捕食する影だよ。主に暗い場所や水辺に現れる。もちろん夜にもね。捕食した生き物の声真似をして新たな獲物を引き寄せるんだ、さっきみたいにね」
「……っ……」
生き物を捕食する影──シャドー。
あの「おーい!」という声は人間の声じゃなかった。ヒカルをおびき寄せるための罠だった。
もし彼らが現れなかったら……と思うと、再びヒカルの体はブルブル震えた。
「寒いか?」
銀髪の青年が自分の上着をかけてくれる。
「あ……ありがとうございます……」
ヒカルは戸惑いながらも礼を言うが、銀髪の青年の表情は真顔のままだった。すぐに笑顔を見せるバットとは正反対だ。
「ああ、任せろ!」
銀髪の青年が洞窟の入り口で待っていた男の名を呼ぶと、バットと呼ばれた男は火のついた松明を追いかけてきた黒い影に投げつけた。
「ぎゃあああっ!」
黒い影はのたうち回り、すぐに海の中へと逃げていく。
「ちっ、逃がしたか」
バットは悔しそうな顔をすると、ヒカルのもとに歩み寄った。
「君、大丈夫?」
「あ……はい……」
バットはニコリと微笑む。
「俺たちが来たから良かったものの、こんなところにいたらシャドーに食べられてしまうよ」
「……あの、シャドーって……」
「あれ、知らない? シャドーは生き物を捕食する影だよ。主に暗い場所や水辺に現れる。もちろん夜にもね。捕食した生き物の声真似をして新たな獲物を引き寄せるんだ、さっきみたいにね」
「……っ……」
生き物を捕食する影──シャドー。
あの「おーい!」という声は人間の声じゃなかった。ヒカルをおびき寄せるための罠だった。
もし彼らが現れなかったら……と思うと、再びヒカルの体はブルブル震えた。
「寒いか?」
銀髪の青年が自分の上着をかけてくれる。
「あ……ありがとうございます……」
ヒカルは戸惑いながらも礼を言うが、銀髪の青年の表情は真顔のままだった。すぐに笑顔を見せるバットとは正反対だ。
