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ぼっち─選択はあなたに─

第23章 屋敷潜入

 鬼女と言われて、エルザは鏡に写る自分の姿を凝視する。

「嘘っ……嘘よ! 私の肌は白くて美しくてっ……」
「───なにをしている」

 その時、背後から低い声が響いた。
 等身大鏡で確認すると、ドア付近でこっちを睨んで立っているザッハ伯爵の姿が見えた。

「ザッハ様!?」

 顔を合わせるのが滅多にないエルザは慌てて身なりを整えると、レシピェールの手を振り払い、ザッハ伯爵のもとへと駆け寄った。

「おかえりなさいませ、ザッハ様。私、貴方が来てくださるのをずっと楽しみにしており──」
「近寄るな、化け物め」
「!!」

 ザッハの一言に、エルザは一瞬で凍りつく。
 その時だった。

「そこまでよ! あなたたちの会話、証拠として録音させてもらったわ!」

 そう叫んだのは、先程エルザに襲われそうになっていたメイドだった。

「録音? どういうことだ」
「私はラザニーア国王により、あなたたちを調査するよう命を受けたの。ここ半年間でラザニーア王国の若い娘たちが人身売買されてると噂を聞いてね……」
「!」
「さ、話は王都でゆっくり聞かせてもらおうかしら」

 しかしザッハは踵を返して逃げ出した。

「逃げても無駄よ! この屋敷はすでに兵によって包囲されてるわ!」

 メイドはザッハを追いかけて廊下を出る。
 しかしすでにそこにザッハの姿はなかった。


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