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ぼっち─選択はあなたに─

第25章 居場所【選択7】

「クロードっ!」

 背中まである長い黒髪を揺らしながら、制服を着た少女はクロードに駆け寄った。

「ナツミ……本当にナツミなのか?」

 本人を目の前にしても、クロードは信じられないといった表情をした。

「本物よ、クロードっ……会いたかった!」

 ナツミは涙を浮かべながら、クロードの胸に飛び込む。

「!」

 ナツミの大胆な行動には驚いたが、間近で見てよりいっそう夢ではないと実感した。

「……無事で良かったっ……」

 クロードの目元が優しくなる。
 その様子をリュージンは見逃さなかった。

「驚いたな! まさかナツミ、自力で帰って来たのか!?」
「バット!? バットも会いたかった!」

 ナツミはバットの胸の中にも飛び込む。

「ばかっ……心配したんだからな!」

 バットはナツミを躊躇なく抱きしめる。

「ごめんね、心配かけて……私もまさか石化されるなんて思わなくて……」

 するとナツミがリュージンの存在に気づいた。

「うそっ、人がいたのね! ごめんなさい!」

 ナツミは慌ててバットから離れる。

「かまわないよ」
「ナツミ、この方はラザニーア王国の第2王子、リュージン王子だ」
「ええっ、王子!?」
「はじめまして、ナツミ」
「はじめましてっ……リュージン王子」

 ナツミは驚きながらも、屈託のない笑顔をリュージンに向けた。


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