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ぼっち─選択はあなたに─

第25章 居場所【選択7】

 自分は──神の子。
 ただでさえ自分で行動ができない呪いをかけられているのに、更に神の子だなんて……。

 しかもこの世を救うか滅ぼすかは神の子次第だなんて、神様はなんてものを異世界の娘に背負わせるんだろうか──いや、そもそも神様なんて存在するんだろうか? 生前の自分さえも救ってくれなかったのに。

「はあ……」

 ソファーに座って、ユッキーメが新しく用意してくれた紅茶を飲むが全然落ち着かない。しかもなんだかさっきから隣の部屋が騒がしくて、若い女性の声が聞こえる。

(この声はユッキーメさんじゃないよね?)

 何を話してるかわからない。でもたまに聞こえる笑い声が羨ましいと思った。
 何も背負ってない人が羨ましい──と。

 隣の部屋が静かになったかと思うと、扉をノックする音が聞こえてきた。

「ヒカル、具合はどうだい? 入っていいかな?」

 この声はリュージンだ。

「どうぞっ……」

 ヒカルは慌ててソファーに座り直す。
 すると扉を開けて入ってきたのはリュージンのみだった。

「あの……クロードたちは?」
「仕事に戻ったよ。とりあえずこの先どうするかは決まったからね」
「あの、私っ……」
「ヒカル、手を出して」

 リュージンがヒカルの隣に座ったかと思うと、ヒカルの手のひらの上に小さな星の欠片を落とした。



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