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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

 バキバキと嫌な音を立てながらラナンを食べる様は見ていられず、思わず顔を背けた。
 すると隣でロイドがヨダレを垂らしている姿が目に入った。

「!?」

 しかもロイドは小声で「オレの獲物を奪いやがって」と呟いた。

 耳を疑った。
 それは一体どういう意味かと聞こうとすると、

「よくもっ……よくも、二人をおぉぉおおおっ……!!」

 バットがシャドーに向かって火炎放射器を放った。

『ギャアアアアアッ!!』

 食べるのに夢中だったシャドーは隙だらけだった。一瞬で炎に焼かれて消滅したのを見届けると、怒りと悲しみが込み上げてきた。もうどんなに叫んでも二人は生き返ってこない。シャドーと共に跡形もなく消えてしまい、焦げた臭いと悲しみだけが残った。

「ちくしょー!! ジャン……ラナンっ!!」

 二人の仲間を失い、バットは膝から崩れた。
 クロードも目を伏せる。
 今まで一体何度、仲間の死を見送ってきただろうか。そしてこれから何度こんな思いをしなければいけないのか。

 シャドーとは一体なんなのか。
 どこから来たのか。

「先輩……ロイド先輩、僕はもうこんな思いはしたくないです! 先輩も、同じ気持ちですよね……?」

 プジョーはロイドの気持ちを確かめるために質問を投げかけた。しかしロイドからは、いつまでたっても返事が返って来なかった。



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