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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「あの、アクアさ……」
「ごめんなさい、ヒカルさん。私、用事を思い出したのでこれでっ……」

 アクアは急に慌てた様子で、その場から去ってしまった。それを見てユズリノとヒカルは首を傾げる。

「急にどうしたのかしら、アクアさん」
「……」
「というかロイドさんとアクアさんって、どういう関係? ヒカル、何か知ってる?」
「……アクアさんの話だと、二人は結婚の約束をしていた恋人同士だったみたいです……」
「そうなの!?」
「でもいつの間にかロイドさんに避けられるようになったみたいで……」
「だからアクアさん、あんなに必死になっていたのね」
「あの、このことは……」
「大丈夫、口外しないわ。でもプジョーさんは知ってたみたいね」

 ヒカルは頷く。

「ロイドさんの様子がおかしいって、どういうことかしら……。アクアさんのことを覚えてないって……まさか、記憶喪失?」
「!」
「もしそうだったら、ロイドさんの記憶さえ戻れば二人は……」

 もしそうなら、記憶を失うほどの原因はなんだったんだろうか。

「もう少し、アクアさんと話をしてみた方がいいわね。きっと何か原因があったはずよ」

 ヒカルは頷いた。
 しかしアクアに心当たりがなければ、その原因を探すのは難しい。

「私もプジョーさんに聞いてみるわ。大丈夫よ、ヒカル。少しずつよ、少しずつ」

 ユズリノはニコッと微笑んだ。


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