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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「単独行動はするなと言ったはずだ」
「すみませんっ……」

 プジョーは慌ててヒカルたちに頭を下げると、踵を返した。ロイドはヒカルたちの方をチラッと見るが、顔色ひとつ変えることなく去って行った。

「ロイド……」

 去っていくロイドの背中を、アクアは切ない表情で見つめる。

「ねぇ、どういうこと? さっき彼が言ってたことって……」
「アクアさん」

 ユズリノが言いかけると、今度はミーナが現れた。

「ミーナさん」
「ヒカルさん、こんにちは」

 ミーナは今日も白いローブを身に纏い、手には分厚い本を抱えていた。

「アクアさん、ジュリくんからのお届けものです」

 ミーナは手に持っていた分厚い本をアクアに渡す。

「え?」
「忘れたんですか? 植物の図鑑、ジュリくんに貸していましたよね?」
「あ……そうだったかしら?」
「ジュリくん、謝ってました。長い間借りててごめんなさいって。あと破ってごめんなさいって」
「え?」

 ミーナは破られたページを開いた。
 そこには修正された跡があった。

「……」

 そのページを見て、アクアの表情が変わるのをヒカルは見逃さなかった。

「……ありがとうございます」

 アクアはミーナから本を受け取った。

「では仕事も終わりましたし、私はこれで」

 どうやらミーナは一人で修道院の仕事をしていたようだ。


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