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ぼっち─選択はあなたに─

第26章 黒い犬【選択8】

「大変だ! 黒い犬が出たぞ──!!」
「!」

 幸せな気分に浸る間もなく、ヒカルはすぐに現実へと引き戻された。悲鳴が飛び交う中、クロードとバットはすぐに騒ぎが起きた方へと向かう。

「うっ……ううっ……」

 その時ヒカルの前に、腕を押さえながらフラフラと歩く男が現れた。

「だ、大丈夫ですかっ?」
「腕を……腕を噛まれたっ……」

 男は顔を歪めながらそう言うと、突然ヒカルに襲いかかった。

「肉をっ……肉を喰わせてくれぇぇ!!」
「──っ!!」

 その時、ヒカルの胸元のエメラルドのペンダントが眩い光を放った。

「ううっ……!!」

 男はその光を直に受けて怯んだ。
 その隙にヒカルは男から離れる。

「なんだ、今の光はっ……」
「うわあ! ていうか、こいつ……シャドー化してる!?」

 ヒカルは周りの住民の声を聞いて、両目を見開いた。目の前にいた男の両腕からは黒い触手が生えていた。

 確か同じような光景を見たことがある。
 バトルトーナメントでシャドーを食べたと言っていた男がシャドー化していた。
 しかし目の前の男は「腕を噛まれた」と言っていた。黒い犬に噛まれてもシャドー化してしまうのか?

「今はあれこれ考えてる場合じゃないですよ」

 耳元で声がした。

「……ヤクモさん!?」

 なんと、いつの間にか隣にヤクモが立っていた。


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