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ぼっち─選択はあなたに─

第27章 西の森【選択9】

『ヒカルは自分にできることだけすればいい、君にすべてを背負わせるつもりはないから』

 ヒカルはリュージンが言ってくれた言葉を思い出す。そして優しい眼差しで微笑むリュージンの姿を思い出した。
 
(リュージン……そうだね。私は自分にできることをすればいいよね……)

 ヒカルはなんとか落ち着きを取り戻した。

「ヤクモさん、ありがとうございます」

 ヤクモは微笑すると、立ち上がって窓から外の様子を伺った。その時、ヒカルはヤクモの左腕に小さな傷がついていることに気づいた。

(もしかしてあの時の……)

 住民に石を投げられた時、当たると思ったのに当たらなかった。あれはヤクモが自分を庇ってくれたからなんだと理解した。

「ヤクモさん」

 ヒカルは立ち上がってヤクモの側に立つ。
 そしてヤクモの左腕にそっと両手をかざした。

「ヒカル様? ……っ!」

 エメラルドのペンダントが緑色に淡く光る。
 その光はヒカルの両手に集まり、ヤクモの左腕の傷を一瞬で治した。

「驚きました……これがあなたの力なんですね」

 ヒカルは穏やかに微笑む。

「傷を治すだけじゃなく、体力も完全に回復しました。感謝致します」
「そうなんですね……」

 そこまでの効果があるとは知らず、ヒカルは自分でも驚いた。



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