ぼっち─選択はあなたに─
第10章 バトルトーナメント前日
「とりあえずわしは、人を石化させてしまうような呪いの楽器があるのか調べるとしよう。知り合いにリュート弾きがおってな。何か知ってるかもしれん」
「リュート?」
ヒカルは首を傾げる。
「リュートというのは、複数の弦を弾いて演奏する楽器のことじゃよ。この収穫祭のイベントにもリュート弾きは来ておる。気になるならあとで見に行くといい、優しい音色は心を落ち着かせてくれるしの」
老人にそう言われ、ヒカルはチラッとクロードの横顔を見た。しかしクロードは心ここにあらずといった感じで誘うのは無理そうだ。
(そうだよね、今はそれどころじゃないよね……)
ヒカルはふと海でクロードに助けられたことを思い出した。ぼんやりとしてしか思い出せないが、もしかしたらクロードは自分をナツミだと思って助けたのではないか?
同じ制服を着ていたから──。
レイナの気持ちがすごくよくわかる。
クロードはこんなに近くにいるのに、とても遠い。
「あ~だめだ! こんなの私らしくない!」
ヒカルは頭を左右に振った。
「ヒカル?」
「クロード、明日はよろしくね! 私、応援してるから! 負けないから!」
「あ、ああ……」
(そうだ、負けない。ザッハ伯爵にも、ナツミさんにも──!)
「リュート?」
ヒカルは首を傾げる。
「リュートというのは、複数の弦を弾いて演奏する楽器のことじゃよ。この収穫祭のイベントにもリュート弾きは来ておる。気になるならあとで見に行くといい、優しい音色は心を落ち着かせてくれるしの」
老人にそう言われ、ヒカルはチラッとクロードの横顔を見た。しかしクロードは心ここにあらずといった感じで誘うのは無理そうだ。
(そうだよね、今はそれどころじゃないよね……)
ヒカルはふと海でクロードに助けられたことを思い出した。ぼんやりとしてしか思い出せないが、もしかしたらクロードは自分をナツミだと思って助けたのではないか?
同じ制服を着ていたから──。
レイナの気持ちがすごくよくわかる。
クロードはこんなに近くにいるのに、とても遠い。
「あ~だめだ! こんなの私らしくない!」
ヒカルは頭を左右に振った。
「ヒカル?」
「クロード、明日はよろしくね! 私、応援してるから! 負けないから!」
「あ、ああ……」
(そうだ、負けない。ザッハ伯爵にも、ナツミさんにも──!)