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ぼっち─選択はあなたに─

第11章 バトルトーナメント当日

「存在すると思う」
「!」

 サラリと答えたリュージンに、ヒカルは驚く。

「さっきも言ったけど、どんな物にも意志があるからね。使う者と楽器の波長が合えば、奇跡が起きる」

 そう言うとリュージンは背中に収めていたリュートを取り出し、弦を弾いた。

「だとしても、楽器は人や動物などを癒すもの。人を石化させてしまうような強い憎しみを持った者が楽器を利用して鳴らすことに、オレは憤りを感じるよ」
「……」

 それならばモンブラン城に強い憎しみを持った者が、楽団もしくは吟遊詩人の中にいるということだろうか?
 それとも全く関係ない人間が楽団に紛れ込んで、呪いを発動させた?

「ありがとう、リュージン。ごめんね、変なこと聞いちゃって……」
「かまわないよ。それなら尚更、オレのお守りをヒカルに渡せて良かった」
「え?」
「きっと君を守ってくれる」

 そう言うと、リュージンはニコッと微笑んだ。

「ヒカル……そろそろバトルトーナメントの会場に行きましょ」
「あ、そうだね! じゃあ私たちそろそろ……」
「バトルトーナメントか、オレも行くよ」
「えっ」

 こうして三人は、ザッハ伯爵が主催するバトルトーナメント会場へと足を運んだのであった。



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