テキストサイズ

僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第3章 2人の受験生

「まぁ、別に一緒に行くのはいいけど。でも、悪いけど、教えてる余裕無いよ?こっちだって受験生なんだから」
「いい大学、狙ってんのか」
「まぁ、ね…」

 そういえば、鈴の志望校って聞いたことないな。女子大ならちょっとは安心できるんだけど、共学だったら…。

 そこまで考えて、俺はうなだれた。共学だったら、どうだというのだ。俺は未だに「弟扱い」から抜け出せていない。身長だって、あんなに頑張って牛乳や小魚を摂取したのに平均身長ぐらいまでしか伸びていない。今の俺の身長は、142センチ。そして鈴の身長は、162センチ。5年前、30センチあった差は20センチ差まで縮んだけど、やっぱり俺のほうが小さいことには変わりない。鈴の兄貴(和樹)は、180ぐらい身長があって、すごくカッコいい。

「ちくしょー。俺も和兄ぐらい身長欲しいよ~」
「え、あんなデカくなりたいの?無駄に背が高くって圧迫感しか無いよ。ていうか小学生で180もあったらバケモンじゃん。バスとか電車で小学生なのに信じてもらえずに大人料金とられちゃうよ?」
「いや、別に今すぐあの身長になりたいわけじゃないけど…」

ーーピンポ~ン。次、止まります。

「ほら、着いたよ。降りるよ」

 鈴に促されて席を立ち、子供料金を払ってバスを降りる。確かに、今、身長が180もあったら、子供料金でバス降りようとしても、確実に止められるな。そんな、しょうもないことを考えながら、そこのバス停から徒歩2分の塾を目指して歩く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ