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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第3章 2人の受験生

ーーそれから5年。

 鈴は高校3年生に、俺は小学6年生になっていた。鈴の兄貴は地元の大学に進学し、自宅から大学に通っている。妹の美羽は4年生。なんか知らんが発育が早くて、まだ小学4年生のくせに、もうブラジャーが必要になっている。胸が大きいだけじゃなく、背もそれなりに高くて、2学年上の俺とほぼ同じぐらいの身長がある。…悔しい。俺は鈴姉に全然追いつけてないのに、美羽には追いつかれるなんて。

 俺は、受験無しで地元の公立中学に進んでも良かったんだけど、とりあえず中学受験をすることにした。最近、けっこう女子にモテるようになってきたんだけど、俺は鈴以外の女には興味が無いから正直なところ、ちょっとウザくて。だから、行けるなら男子校にいったほうがラクかな、っていうのが理由の1つ。あとは、鈴が今年、高3で受験生だったから。一緒に受験勉強とかできるかもしれないという思いもあった。もちろん、中学受験と大学受験じゃ全然、内容も何もかも違うのはわかってる。わかってるけど、一緒の時期に『受験生』してるってのがなんかいいな、って思ったんだ。

「鈴姉、自習室行って一緒に勉強しようぜ」
「一緒にって、学年全然違うのに…」
「塾の自習室は塾生ならいつでも誰でも使えるだろ」

 鈴が通っている学習塾は、中学受験から大学受験までを総合的にカバーする学習塾で、その為、通っている生徒も下は小学4年生から上は高校3年生まで幅広い。そこに目をつけた俺は、親に頼んで鈴と同じ学習塾に通わせてもらっている。

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