テキストサイズ

お酒とオールバックに溺れる夜

第2章 第2酒 -純さんの味-

すっかり出来上がってしまった私は、
孝哉さんや純さんに
母のことや自分のことをたくさん話した。

久しぶりだった。
こんなに誰かと会話したのは。

純さんは、
他のお客さんに気を配り接客しながらも、
相変わらず強めの口調で相づちを入れながら、
私の話を聞いてくれた。

そうするうちに、
ほんの少しだけ寂しさが和らいだ。

そして、いつの間にか
酔い潰れて寝てしまっていたのだ。

「おい、いい加減起きろ、処女!

もう、閉店時間だ」

「んん。......あれ、みなさんは?」

「とっくに帰ったわ」

あんなに賑やかだった店内は、
BGMの音も消えて、
ガランと静まり返っていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ