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せいぎのみかた

第3章 ダイキの正義

ダイキはトラックのドライバーになっていた。

道路の状況は年々悪くなる一方である。
周りが気をつけて当然、周りが気をつけてくれるから自分はいいんだと言わんばかりに我が物顔で飛び出しや強引な割り込みなど自分勝手な運転をする者ばかりが目立つようになった。
あおり運転のような卑劣で許せない危険運転も目立つようになった。

警察はあおり運転は絶対に許さないなどの大義名分を掲げて取り締まりを強化したが、実際にやっていることは、隠れたり潜んだりと汚い手を使って些細な違反ばかりを捕まえて鬼の首でも取ったかのような顔をしている。

街の平和と安全よりもノルマが大事だから捕まえやすいものばかりを獲物に点数を稼ぐのだ。

警察のこの点数稼ぎには裏があって、赤切符になるような重大な違反の反則金は国庫の歳入になるが、青切符で済むような軽微な違反の反則金は警察組織の歳入となり、その6割程度が交通安全協会やパチンコの管理組織など警察の天下り組織の活動資金に補てんされる。

悪質な違反は絶対に許さないと大義名分を掲げながら、本音は自分たちの天下り資金になる軽微な違反を数多く捕まえて反則金を稼ぎたいだけである。

ダイキは傍若無人な運転をするヤツらや正義ない警察に憤りを感じながらも、そんなことに負けないように安全運転を続けた。

ダイキには職場で親しくしている女性ドライバーがいた。彼女はバツイチで幼い子供を女手ひとつで育てながら過酷なトラックドライバーとして働いていた。

子供もダイキになついてくれて、ダイキの熱い想いに応えて彼女はプロポーズを受けてくれた。
結婚の約束をした夜にダイキと彼女は一度だけ男女の関係をもった。
だが、ダイキと彼女が結婚することはなくなってしまった。

悪質なあおり運転に遭って事故を起こして彼女は亡くなってしまったのだ。

結婚はできなかったが、身寄りのない彼女の子供はダイキが引き取ることにした。
理不尽な事故によって突然母親を失ってしまった子供の泣き顔にダイキはあおり運転のような悪質で危険なヤツは絶対に許さないと誓った。

あおり運転はオレが撲滅してやる。

あおり運転を発見するとドライブレコーダー等の映像でナンバープレートや社名等個人が特定できる映像をネットにアップして『悪質あおり運転』として拡散した。

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