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せいぎのみかた

第4章 ケンヤの正義

ケンヤはライブハウスのオーナーになっていた。

新型コロナというウイルスが猛威を振るい、感染拡大のためにライブハウスや飲食店には自粛が強いられてケンヤたちの業界は暗黒の時代を迎えた。

それでもテイクアウトの弁当を販売したり、無観客で配信をしたりと何とか暗黒の時代を乗り切ろうと仲間たちと誓い合った。

それなのに、みんな自粛をしているのに、警察の天下り組織が管理をしているパチンコ業界だけは自粛もしない。

業界団体から政治家に付届がされているのもパチンコ業界が強気にしていられる大きな要因だった。正に地獄の沙汰もカネ次第である。

さすがに国民もパチンコは自粛もしない大きな矛盾を疑問に思いSNS等で大炎上したので、慌ててパチンコ店にも自粛を要請することとなった。

強めに自粛を要請して従わない店は店名を公表するといった愚行に本気で自粛を要請するつもりなどさらさらないことが分かった。

店名を公表なんてすれば、御丁寧に宣伝してやってるようなものであり、案の定営業しているパチンコ店には県内外から大勢の客がやってきて、いけないと言われている三密状態で行列を作った。

ケンヤたちの街にも県外から大勢の客がパチンコをしにやってきて行列を作った。

自粛を要請しながら御丁寧に宣伝までして逆に協力をする。それが行政のやることなのだ。

ケンヤたちの街でも日々感染は拡大していった。

パチンコなんかをやりに県外からやってくるヤツらが撒き散らしているのは間違いないだろう。

感染して症状が酷いとわずか数日で命を失うこともある。ケンヤの大切な仲間たちもコロナで命を失った。

コロナで命を失うとお別れする時間も与えられずに、まるで厄介なモノでも処分するようにさっさと焼かれてしまう。もはや人の心も失くした所業だ。

そもそもパチンコなんかをやりに県外から来たヤツらが撒き散らしたせいで本来失われなかったはずの命が理不尽にも奪われたのだ。

報道番組ではパチンコ店に行列を作る人たちに直撃取材をしたこともある。そんな愚かな取材をやるヤツらもアホだが、感染してもかまわないからパチンコはやめられないとか、営業しているパチンコ店があるならばどこまででも行くなど戯言をほざいて並んでいるヤツらは殺してやりたいぐらいに許せなかった。

キサマたちのせいで失われた尊い命のことを考えたことがあるのか。

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