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ブラコンですが、なにか?

第6章 Cute little brother Kazunari③

「ごちそーさま」

2~3枚食べたところで潤はイスから立ち上がる。

「和也のフォローよろしくね」

「ん?」

ピザを頬張っているので声が出せない。

「こればっかりは俺にはどうにもできないからさ。雅紀にぃなら甘えられるんじゃないのかな……って」

潤の言う通り当事者がどんなに言葉を並べても、今の和也は『でも……』と否定してしまうだろう。

もちろん潤が嘘を言っている訳じゃないんだけどね。


たぶん……不安なんだろうね。


「わかった。雅紀にぃに任せとけ」

俺も立ち上がると、ちょっと落ち込む潤の髪をクシャっと撫でた。

「雅紀にぃって……自分で言う?」

吹き出し気味に笑う潤を見てホッとした。


潤なりに責任を感じているんだと思う。

でもそれは潤が悪いわけじゃないし、潤が和也を想ってした行動になんの間違いもない。


きっと俺も同じことをしてたと思う。


「うっせーな。和也と違って、可愛くねーの」

わしゃわしゃと強めに頭を撫でて髪を乱してやった。

「もー、髪の毛むちゃくちゃじゃん……風呂、入ってくるから」

潤が俺から目線を変えた先を振り返って見ると、風呂から上がってきた和也がいた。

「和也、ピザ余ってるから一緒に食べよ?あと、炭酸おかわり」

空になったグラスを掲げて見せた。

「え、あ…うん」

和也が冷蔵庫の炭酸を取りに行っている間に、潤は風呂場へと向かった。

「はい、どーぞ」

「ありがとう」

つけ入る隙を与えない様にグラスを差し出し、炭酸を注いでもらう。

「和也も座んな?ほら、ピザ……あーんして?」

そして和也の手を軽く引っ張り座らせると、口の前にピザを持っていく。

どうしようって考えてたけど、遠慮がちにパクッと一口だけ食べる。


可愛いなぁ……

って、そんな場合じゃない。


食べ終わると、俯く和也。


「思ってる事……言ってみな?」

ゆっくりと顔を上げて俺を見る和也の髪を優しく撫でた。

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