❇️片暉の残照❇️
第10章 嫉妬の代償
私は薄い寝間着ドレスの上から掴んだブランケットを肩にかけ…部屋のカーンを開けた。
月は出ていないが――――…中庭を照らす明かりが暗闇にホワリと浮かび上がり…綺麗に見えた。
その時――――…窓のガラスに写る自分の姿に「え?」と驚いた――――。
髪が――――髪が…肩から先がなかった…。
「そうだ――――…足元に…髪の束が…」
男の人に切られた記憶はないが…足もとに自分の髪の毛の束が散らばっていたのは覚えている。
そっと――――髪を手で鋤くと…あっという間に指が軽くなる――――。
髪の毛が無いことを突きつけられた。
“テイスの髪は本当に綺麗ね”
昔――――…私の髪をお母さんは誉めてくれた。
それから、伸ばしていた…髪の毛が…
「ない――――…なくなってる…」