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❇️片暉の残照❇️

第12章 お茶会と緊張の挨拶


「兄様と仲がよさげだが――――…と、その髪はなんだ?それに眼帯…お前は“未亡人”か?」


――――え?“未亡人”って…?



一瞬その場にいた人たちが固まる――――…。


「コーテル!?」



近くにいたロミ様が、慌ててコーテル様を見ると…彼はふんぞり返ったまま、悪気のない発言だと言わんばかりに私を見下ろし続ける。


「夫に先立たれた婦人は髪を短くするのだろ?

お前――――若いのに苦労しているのだな?」



――――若いって…一応同い年…笑えない冗談だよぉ~?



「コーテル失礼だぞ!それに、テイスは今月成人したばかりの、ハジロ公爵令嬢でメルトの妹だ!」


「は?」と、コーテル様はロミ様を見ると…ロミ様の後ろで無表情でコーテル様を見つめるお兄様にビクッとする。


「――――ハジロ…って…バラの?メルトの妹?ぼ…僕は聞いていないぞ?」


失言だったとジワジワ後悔し始めたコーテル様は、自分は悪くない!と、言わんばかりに兄であるロミ様を睨む!


「テイスは先日成祝しましたので、今宵の晩餐会が社交界デビューでございます…なので――――公に紹介するのか今日が初めてでございます」


お兄様の声がワントーン低くコーテル様を責めるように響く。



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