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エッチな女子達の事情

第4章 エッチな女子達の旅行①

男の問いかけに、禰豆子ちゃんと私は顔を見合わせた。
禰豆子ちゃんも、驚いたような表情で私を見つめている。
まさか気づかれるなんて、思ってもみなかった。
足音も立てていないのにどうしてわかったのか?
不思議だ。


「おい、柱にコソコソ隠れているやつ。出てこい」


しばらく黙り込んでいた私達に、男が痺れを切らしたように問いかけてきた。
その低い声に、私の背筋が冷たくなる。
禰豆子ちゃんも同じらしく、男の姿を見るなりカタカタと震えていた。


「……っ……!」


私は震えている禰豆子ちゃんを強く抱きしめた。
きっと、男が怖くて怯えているのだろう。
そりゃそうだ。あんな男、怖くて近づきたくない。
私は震える禰豆子ちゃんを抱きしめながら、ゆっくりとボックスに目をやった。


あれ? ボックス席にいたあの男がいない!
私は男がいないことに焦り始めた。


え、どこ……!?


キョロキョロと辺りを見回したその時だった。


「やっぱり。隠れてやがったのか」


横からあの男の声がした。
よく見てみると、男は花札のような耳飾りをしていた。
目は鋭く、赤い。
あれ、よく見たらこの人、スバルさんの手を折った人だ!
間違いない! 禰豆子ちゃんの彼氏……!
そうだ、この人は禰豆子ちゃんの彼氏だった……


「あっ……!」


彼氏は禰豆子ちゃんの元に近づくと、無理やり腕を掴み上げた。
そのまま奥の出口へと禰豆子ちゃんを引っ張ってゆく。
禰豆子ちゃんは名残惜しそうに、私を見つめた。


バタンと出口の扉が閉まる。
残された私は呆然と立ち尽くした。

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