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子犬、拾いました!

第2章 夏祭り

「皆様、まもなく打ち上げ花火が始まります」

アナウンスが流れて来た。

「あ、始まるって! 良く見える所に行こうよ」

ご機嫌な陽太くんは走り出した。

「ちょっと待ってよ。下駄だと走りにくいんだから」

慣れない下駄で走ったのが悪かった。つまずいてコケそうになってしまった。

「あ、危ない!」


陽太くんに抱き止められるかたちで助けてもらった。

「ごめん、俺、急ぎすぎたね」

陽太くんの大きな肩と手に触れて、私の中で彼の印象が変わった。


陽太くんは男の子なんだ…  もう弟だなんて思えない。


「瑠菜さん、平気? 痛い?」

心配そうに私の顔を覗き込む陽太くんを真っ直ぐ見つめて、「大丈夫だよ!」 と笑顔で言った。

「どこに見に行くの?」

「あの崖の上」

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