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オレの創造者

第5章 再生

***

 「散らかってるけど、入って?」

 「ありがとう」

 彼女の部屋…オレが覗きこんでいた部屋にあがりこみ、キョロキョロしているうちに、彼女はスマホの画面を確認していた。

 そして「あっ!」と小さく叫んで、電源を落とした。

 「どうしたの?」

 「うん、なんでもないの。コーヒー飲む?」

 「お願いします」

 勧められたソファーに座り、ヤカンを火にかける彼女を見つめる。

 しっぽはついてないし、足も地についてるし。

 オレは自分の手の甲をつねる。

 痛いってことは、夢じゃない?
 それとも、夢でも痛い?

 わからなくて、フラッと彼女に近づいた。
 生きていても生きてなくても、心配なことがあるんだ。

 朝がきて太陽が出たら、彼女が忽然と消えてしまわないかどうか。
 次に、ここを尋ねたら、空き地になっていないかどうか。

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