ダブル不倫 〜騙し、騙され
第4章 4
ある土曜日の夜。娘の凛華が眠ったあと、優子は畠山と缶ビールを飲んでいた。ダイニングテーブルには飲み終えた缶ビールが数本転がっている。
午後八時を過ぎていた。修一はまだ帰っていない。
「畠山さん、ねえ?」
優子はテーブル越しに身を乗り出した。目を閉じて、畠山の唇を催促する。
畠山の冷たい唇の先が優子の唇を小さく啄む。
ん、んんっ……。
優子の唇が覆われた。彼の舌を誘う。テロンと生温かい畠山の舌がホップの苦みを送り込む。泡立つ苦味のある唾液を喉を鳴らして飲み干した。
カン、という乾いた音がした。玄関の鍵が回った音に二人の唇は離れた。二人はティッシュペーパーで唇を拭う。
――修一さんが……。
ダイニングルームの扉が開いた。
「あなた、おかえりなさい。あ、畠山さんと飲んでいたの」
「おじゃましてます。いつも、奥さんには色々と……」
畠山は椅子から腰を上げ、小さく頭を下げた。
「いえ、妻も娘もお世話になっているそうで、ありがとうございます」
修一はネクタイを緩めながら、椅子に腰を下ろした。
「ねえ、あなたも……」と優子は冷蔵庫から取り出した缶ビールのプルトップを引いてテーブルに置いた。
修一が喉を鳴らしてビールを流し込む。
「フゥッ、ああ、畠山さん、妻が何かご迷惑をお掛けしていませんか? 今日もこんなに遅くお引き止めして……。ああ、もっと飲んでください。何かいいツマミが……」
「いいえ、僕は充分に頂きましたので……」
修一がキッチンに消えた。
畠山のメガネの奥の目が優子を見た。優子がテーブル越しに身を乗り出す。
畠山も少し戸惑いを見せたあと、身を乗り出した。
午後八時を過ぎていた。修一はまだ帰っていない。
「畠山さん、ねえ?」
優子はテーブル越しに身を乗り出した。目を閉じて、畠山の唇を催促する。
畠山の冷たい唇の先が優子の唇を小さく啄む。
ん、んんっ……。
優子の唇が覆われた。彼の舌を誘う。テロンと生温かい畠山の舌がホップの苦みを送り込む。泡立つ苦味のある唾液を喉を鳴らして飲み干した。
カン、という乾いた音がした。玄関の鍵が回った音に二人の唇は離れた。二人はティッシュペーパーで唇を拭う。
――修一さんが……。
ダイニングルームの扉が開いた。
「あなた、おかえりなさい。あ、畠山さんと飲んでいたの」
「おじゃましてます。いつも、奥さんには色々と……」
畠山は椅子から腰を上げ、小さく頭を下げた。
「いえ、妻も娘もお世話になっているそうで、ありがとうございます」
修一はネクタイを緩めながら、椅子に腰を下ろした。
「ねえ、あなたも……」と優子は冷蔵庫から取り出した缶ビールのプルトップを引いてテーブルに置いた。
修一が喉を鳴らしてビールを流し込む。
「フゥッ、ああ、畠山さん、妻が何かご迷惑をお掛けしていませんか? 今日もこんなに遅くお引き止めして……。ああ、もっと飲んでください。何かいいツマミが……」
「いいえ、僕は充分に頂きましたので……」
修一がキッチンに消えた。
畠山のメガネの奥の目が優子を見た。優子がテーブル越しに身を乗り出す。
畠山も少し戸惑いを見せたあと、身を乗り出した。