
お面ウォーカー(大人ノベル版)
第7章 記者
「あ、ちょっと……」と引き止められずに、良夫はテーブルについた。
「ホンマに捨てたっちゅうのに……諦めてほしいわ。でも、美人やったなぁ」
自分のグラスのワインをクイッと飲み干すと、じゃこおろしに醤油をたらし、一気にたいらげる。
そこにおばちゃんが、軟骨から揚げとおでんを持ってテーブルにきた。
「あの、お相手さんのグラス、舐めはります?」
「舐めへんわ! もう、俺も帰るし、頼んだ料理持って帰るから、容器かなんかに入れて」
外に出た夕子は、車を止めたコインパーキングに向かった。
良夫の会社に出向いた時は、まだ少し明るかったが、すっかり日も暮れて会社帰りのサラリーマンが駅に向かう姿がチラホラ見受けられる。
夕子が車に乗り込もうとした時……、
「おい、ネット記者の姉ちゃん」という声と共に、何者かの手が車の扉を押さえた。
「えっ」
夕子が、振り向く。そこには、見覚えのある男の姿があった。
「あっ! あの時の……」
そこにいたのは、夕子が麻薬売買の一部始終を捉えるために尾行していた半グレの男だった。
この男には以前、良夫のアパートの裏でナイフを突き付けられたことがある。
「久しぶりだなぁ、なにしてんだこんな所で」
この男の口からは、キツいトルエンのような匂いがする。
夕子は、「手を退けて下さい。帰りますから」と無理矢理、車に乗ろうとする。
「待てよ、帰るんなら一緒に帰ろうぜ」
男はそう言って、力づくで車の扉を開け、運転席に乗り込んだ。
「ホンマに捨てたっちゅうのに……諦めてほしいわ。でも、美人やったなぁ」
自分のグラスのワインをクイッと飲み干すと、じゃこおろしに醤油をたらし、一気にたいらげる。
そこにおばちゃんが、軟骨から揚げとおでんを持ってテーブルにきた。
「あの、お相手さんのグラス、舐めはります?」
「舐めへんわ! もう、俺も帰るし、頼んだ料理持って帰るから、容器かなんかに入れて」
外に出た夕子は、車を止めたコインパーキングに向かった。
良夫の会社に出向いた時は、まだ少し明るかったが、すっかり日も暮れて会社帰りのサラリーマンが駅に向かう姿がチラホラ見受けられる。
夕子が車に乗り込もうとした時……、
「おい、ネット記者の姉ちゃん」という声と共に、何者かの手が車の扉を押さえた。
「えっ」
夕子が、振り向く。そこには、見覚えのある男の姿があった。
「あっ! あの時の……」
そこにいたのは、夕子が麻薬売買の一部始終を捉えるために尾行していた半グレの男だった。
この男には以前、良夫のアパートの裏でナイフを突き付けられたことがある。
「久しぶりだなぁ、なにしてんだこんな所で」
この男の口からは、キツいトルエンのような匂いがする。
夕子は、「手を退けて下さい。帰りますから」と無理矢理、車に乗ろうとする。
「待てよ、帰るんなら一緒に帰ろうぜ」
男はそう言って、力づくで車の扉を開け、運転席に乗り込んだ。
