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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第7章 記者

お面は、跳ねるように良夫の顔にはまった。

金髪の男は歩きながら、電話をする。

「えっ、なに? 前に話してた女が見付かった? おう、そっち行くわ」

男二人は、その場を去り、良夫は無言で俯いていた。

「ヤバい……貼り付いたぁぁ……」

ただでさえ、ケータイ地域ニュースで記事にされているのに、いまここでこの顔を曝せば、注目を浴びてしまう。

「あ……」

ふと、夕子の姿が過った。

「車で家まで送ってもらえんやろか?」

断られるかも知れないが、頼むだけ頼んでみようと、良夫は顔を隠しながら、コインパーキングに向かった。

「さっきの話を受け入れたら、乗せてくれるかもしれん。でも、まだいるかなぁ……急ごう」

だが、到着してすぐ……、

関わりたくない状況に、出会してしまった。

「おい、なに見てんだてめえっ!」

ニット帽の男が薄い眉毛を吊り上げ、良夫の前に立ち塞がる。

「いや、ちょっと……あの、落ち着いて……」

状況的に見て、危ない領域に足を突っ込んでしまったと、ここに来たことを後悔した。夕子が、助けてくれと目で訴えてくるのが、辛いほどわかった。

この時、一匹のハエが良夫の周りに飛んできた。『ブーン』と鳴りながら、顔の前を飛び回る。

(こういう時に、うるさいなぁ)

ニット帽の男は、「しょうもない見物人は邪魔すんなよっ」と威嚇のための左拳で殴りかかった。

良夫は、「うるさい」と言って、ハエを右手で払った。

『パシッ!』ていう音と同時に、重い衝撃を感じた。

良夫は、ハエと一緒に、男の拳まではらいのけた。

「うわ、びっくりした」と良夫は急に、男の手がきたことに驚いた。

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