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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第7章 記者

「え……あ、お取り込み中かな……」と良夫は、ボソッと言った。

ニット帽の男は、良夫に詰め寄る。

「お前、なんのつもりだ? そんなもの顔につけてよぉ」

「いや、なんのつもりもありません……はい」

数分前……、

店を出た良夫は、手に料理を詰めたパックが入ったビニール袋を下げて、帰り道の駅の反対側に向かって歩いていると、前方から白い野良犬がこちらに向かってきた。

「え、今ごろ野良犬なんている? 珍しいな」

首輪を付けていることから、どこかで飼われていたのが逃げてきたのだろう。

だが、良夫は、あるものを目にして驚いた。

「え……ちょっと待て、え!?」

野良犬は口に、お面を加えていた。

「ちょっと待って待って待って、え? なんでお前がそれを?」

野良犬は、お面を口からはなす。

袋を地面に置き、良夫はお面を拾おうと腰を下ろす。

その隙に、野良犬は料理の入った袋を加えて、走り去ってしまった。

「お、おいおい、待て、それは置いてけって! てか、なんでこれがある!?」

早朝、ゴミ捨て場には、いつも被されていたナイロン製の網が被されておらず、カラスによって荒らされていた。その中には良夫が捨てたゴミ袋もあり、追い打ちをかけるように、野良犬がそのゴミ袋を裂いた。犬はその中にあったお面を加えて、去っていった。おそらく、フリスビーだと思ったのだろう。

呆然として、お面を眺める良夫。本当にあのお面なのか、裏を確かめた。

その横を通り過ぎようとした、二人の男がいた。それが、金髪とニット帽の男だ。

金髪の男が良夫の横を通ろうとした時、携帯電話が鳴った。

ポケットから携帯電話を出す際、金髪の男の腕が、良夫の持つお面に当たった。

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