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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

「今日これを渡して、機嫌をなおしてもらおうか」

そう呟きながら、心の隅で「バカだからなんとかなる」と思っていた。

勝重は、バッグにリングを入れ、会社に向かうべく家を出た。


その頃、バカ……良夫は、

「今日、トミヤ模型から新しいのが出る日やんけ」と模型店から貰った、ミニ四駆のチラシを眺めていた。

だが、本人はミニ四駆の未開封の箱を15箱も所有しており、まだ一つも作ったことがない。

「作りたいが時間が無いなぁ……」といっているが、時計を眺めてかんると、一日24時間として、睡眠時間が約7時間。労働時間、休憩、残業含めて9時間。会社、アパートの往復40分。入浴約20分、ごちゃごちゃしたやぼ用で1時間使うとするならば、残り6時間ある。

「よし、作れるな。帰りに買いに行こう」

プラモデルは大好きだが、いざとなると作るのが面倒くさくなる。良夫は、自分のそこに気付いていない。

チラシにある欲しい物に○をつけ、それを折り畳んでポケットに入れると、携帯電話と財布を手に持つた。

すると、いきなり携帯電話が鳴りだした。

「なんやねんな、今から出るところやのに……」

画面には、「ゆうこさん」と出ている。

記者の夕子からだった。

良夫は、とりあえず電話に出た。

「はい、もしもし」

『あ、田中さん、おはようございます。通勤前にすいません』

「よく通勤前ってわかったね」

『あの、今晩、山田さんが田中さんとお話したいとおっしゃってますが』

「話が突然すぎません? てか、山田って誰よ」

『仕事が終わったら駅前で会いましょうって、伝えてほしいとありましたので』

「話の前後、大切にしましょう」

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