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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

『じゃ、お願いします』

「待て待て、暴投酷すぎるやろ!! キャッチボール的な会話しろよ!」

電話は切れた。

「あの子、どこで俺の扱い方を覚えてん……てか、山田って誰やねん」

そうぼやくと、なぜか再び電話が鳴った。

「なんやねんな、もう出ないとアカンねやで」と画面を見ると、ゆうこさんという文字が。

「また夕子さんやないの……なんや、俺の事が好きですって、言いたいんかな?」と絶対に有り得ないことを言って、電話に出てみる。

『あ、山田さんて、格闘家の山田二郎さんのことです』とだけ言って、電話を切った。

「あ、それを言い忘れたから、またかけてきたのね……て、格闘家の山田二郎って誰よ?」

良夫は、野球と競馬以外のスポーツは見ないため、山田二郎の存在は知らなかった。

すると、三度電話が……、

夕子からだ。なにも言わずに電話に出てみる。

『え、山田二郎知らないの? いま、日本で一番強い格闘家ですよ』

「いきなりなんで俺の疑問がわかるんだよ! 盗聴器仕掛けてんか?」

『田中さん家知らないから、そんなの仕掛けてませんよ!』

「いや、家の前まで来とるだろうが!! てか、やっと会話したな!」

『もう、私も朝は忙しいんですよ。電話の相手ばかりしてられませんから、田中さんまたね』と夕子は電話を切った。

「そっちからかけてきて、なに言ってんだ! 一方的すぎるやろ! てか、格闘家の山田二郎なんて知らんっちゅーねん!」

そう言った後、しばらく携帯電話を眺めてみた。

「……いや、かけてこんのかい!!」

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