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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第7章 記者

ショーゲン・パル・プンテと争った時のことだ。だが良夫からすれば、あれは巻き添えを食ったようなもので、闘ったわけではない。

「まあ、闘ったというか……」

「私、スクープを探している時、パトカーの音がしたんで、近くを探していたら、偶然、お面をつけたあなたと変質者が向かいあっているところに出くわしたんです。私は、街灯下で明るいところで見ていました」

「だったら、見てないで警察呼びなさいよ」

「私が電話して、詳しい場所を教えたんです」

「すいませんでした」

車は走り出した。

夕子は、それからお面をつけた田中良夫は、犯罪者と闘う人だと思ったと言う。

「いやいや違う違う違う、だからあれは」

「昨日、剣道の防具をつけたやつと闘って、私を助けてくれたじゃありませんか」

それを聞いて、良夫は、夕子の顔を見た。

「ん? え、ああっ! ホンマや!」と良夫は、思わず指を差す。

いまサングラスはしていないとはいえ、まさしく昨日の女性だ。

「あ、そうなんだ。あらららら……」

「え、昨日の今日ですよ。覚えてないんですか?」

「いや、あんたサングラスしてたやん。顔もそんなマジマジ見てへんし」

「それもそうですね。でも私、二回助けられたんですよ。本当にありがとうございます。それで、ここから本題なんだけど、今日の朝、田中さんが出勤するのを尾行して、会社を突き止めました」

良夫は、驚いた。

「はぁ!? なに、ストーカー?」

夕子は、ハンドルを握りながらクスッと笑う。

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