テキストサイズ

不埒に淫らで背徳な恋

第5章 【贖罪することが救いなのでしょうか?】





昼時の混み合う時間帯。
幸いパーテーションで区切られているが人目を忍んで頭を下げた。




「すみません…!それでも私は子供はいらないです……産みたくありません」




稜ちゃんの代で止めてしまう。
私じゃ子孫を残してあげれない。
強張るお義母さんの顔は見れなかった。
どうして…?と取り乱される。




お互い好き同士で一緒になったんでしょう?
稜士はあなたを愛しているわ。
大切に想っている。
あなたも支えてきてくれたじゃない。
あの子にはあなたが必要よ。
子供が出来たら大変だけどそれ以上に夫婦として絆が深まるのよ。
私たちも精一杯支援するから考え直してみてちょうだい。




逆に頭を下げられ困る。
チラチラ見られて恥ずかしい。




でも私は頑固として曲げてはならない。
今まで散々押し切られて目を瞑ってきた。
私が我慢すれば丸く収まっていたから。
大切な人の母親だし?
それも今日でおしまい。




これだけは譲れない。




「夫婦でも話し合ってますし稜士さんも納得してくれています」




「あの子何にもわかってないのよ」




お義母さんもね。




「デリケートな問題なので出来ればそっとしておいて頂けませんか?」




「そっとしておいて気が付いたらもう産めなくなってるかも知れないのよ!?適齢期だってこと忘れないで?」




長い間不妊治療してやっと稜ちゃんを授かったと聞いている。
自分が経験してるからこそこんなに執着してくるんだ。
だからといってそれを私に押し付けないで。




「意地を張ってるだけなのよね?だったら卵子凍結させておく手もあるわ」




何言ってるの?
それって体外受精ってことだよね?
そこまでして子づくり?
冗談じゃない。
私を何だと思っているの?





「今は気持ちが乗らなくても二人の将来の為に凍結させておきましょう?費用は全額出すから心配しないで」




「そこまで仰るなら喜んで引き受けてくれる人をお探しください」




「え…?」




「私は一切協力することは出来ません。それが返って夫婦仲を引き裂くことになるとは考えられませんか?それでもお義母さんが押し切るなら私は全てから手を引きます」








ストーリーメニュー

TOPTOPへ