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不埒に淫らで背徳な恋

第5章 【贖罪することが救いなのでしょうか?】





普段は入らない喫茶店。
ランチ頼んだけど最早もう帰りたい。
曖昧に濁すと一枚の名刺と何かのパンフレットを出してきた。
見た途端、表情筋が強張る。




「この方ね、とっても有名なお医者様なの。常に予約がいっぱいでね、なかなかお会い出来ない方だけどこの方の手にかかれば不妊で悩んでた人も3人授かったって」




待って……私、何を聞かされてるの?
また始まった。




「あの、ですから私は…」




「不妊ってお金も時間もかかるでしょう?働きながらだと難しいかも知れないから少しでも出来やすい環境に整えてくださるのよ。知り合いのツテで奇跡的に予約取れるみたいだから一度お会いしてみない?予定聞こうと思ったら居ても立ってもいられなくて来ちゃった」




は、早口……話す隙きも与えないってことね。
ランチ、食べた気がしない。
砂噛んでるようにしか思えないのは私だけ?




「稜士さんはこのこと知ってるんですか?」




「あの子こういうの疎いでしょ?瑠香さんがNoと言えばNoじゃない?でも稜士の代で止まって欲しくないのよ…だから瑠香さんからも言ってもらえないかしら?その方がすんなり聞くはずよ」




ちょっと待って?軽くディスってるし。
ストレスでしかないんだけど!?
そもそも私が納得してないのわかってます?




「もし瑠香さんが育てる自信がないのならうちで引き取っても構わないわ。だから考えてみて?産めるうちに産んでおいた方が瑠香さん自身の為にもなると思うの、欲しい時に出来にくいときっと後悔するわ…まずは自身の身体を調べてもらいましょう?」




全然喉を通らないランチを残し、箸を置いた。




とうとう、叩きつける時が来たのか。
カバンから封筒を出し、目の前で広げた。




「最近調べたものです。異常なしとのことでした」




見た途端お義母さんの顔色が明るくなった。
じゃあ後は稜士ね…って、そうじゃない。




「あの、酷なことを言うようで申し訳ないんですが……自分の身体を知った上で更に強く思ったんです」




話を聞いてくれているようでずっと紙を見ている。
そんな嬉しそうに見られると今から言う言葉全て飲み込んでしまいそうになるけど、押し切られてはいけないと奮い立たせる。








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