
不埒に淫らで背徳な恋
第6章 【守るべきものがある人生は幸福ですか?】
ボディタッチ!?してるかなぁ…?」
「してますよ…!特に田中くんは告白されてるにも関わらず頭なでなで、ほっぺプニプニ、新入社員にも叱った後の笑顔ヤバいです、あれ惚れます。あ、そういや前に居た佐野っちにも…」
「みなみちゃんストップ…!うん、よーくわかりました……以後、気を付けます」
そんなふうに映っていたのか。
とんだセクハラじゃないか。
「いや、責めてるわけじゃないです」
「ん…?」
「そんな佐久間マネージャーに憧れてるだけなんです。私たちももっと佐久間マネージャーに褒められたいな〜って、だってこんなキレイな人に褒められたらめっちゃやる気出ますもん」
「みなみちゃん……」
ヤバい、キュンときた。
「皆の佐久間マネージャーで居てください」とか泣けるから。
「ボディタッチしていい?」
涙目でコクリと頷いてくれてそっと抱き締めた。
「うぅ〜良い匂いします」
「アハハ……ありがとう」
後輩女子にここまで言ってもらえて幸せだよ。
みなみちゃんのお陰で職場内もより円滑に……?
つい、田中くんとじゃれ合いたい衝動を抑えつつ…日々、自身の仕事を片付けている。
久しぶりに入った資料室。
タブレットに目を通しながら資料を選んでいると田中くんが入って来た。
ちょっと集中し過ぎてて名前呼ばれてもすぐに気付けなくてごめんね。
私の立つその隣でしゃがんだ田中くん。
同じ場所にお目当ての資料があったらしい。
「佐久間マネージャー」
「ん…?」
ようやく視線が重なった。
見上げる田中くんと見下ろす私。
「なでなでしてください」
「えっ!?」
どうした!?急に何言うの。
気を付けてたのにヤメてよ。
ワンコみたいに見ないで。
くぅ………可愛い。
「だって最近ないじゃないですか、僕…ミスしてないですよね?」
「うん……」
確かによく頑張ってくれてる。
以前の田中くんとは比べものにならないほど。
だからってせがまないで。
…………ワン!
って吠えてる気がした。
ヤバい……見えないはずの耳が見えてきそう。
でも今、資料室に二人きりだよ?
さすがにそれは……
