
不埒に淫らで背徳な恋
第6章 【守るべきものがある人生は幸福ですか?】
「あっ……」
田中くんは私の手を引き、自分の頬に触れさせた。
私がよくしちゃうほっぺプニプニ……してってことなのかな?
「これ、結構されるの好きなんです……ダメですか?」
嗚呼………私、こういうの弱い。
癒やしの田中くんだからつい許しちゃってたけど、みなみちゃんが言うようにそれがダメなんだよね?
「忙しいから…」
「○○キャストの企画、通りました」
「えっ!?」
「ね?凄いでしょ?褒めてください」
以前、発注ミスがあって怒らせちゃったところからまた依頼されるなんてよっぽどのこと。
信頼回復に努めたんだな。
陰でたくさん努力するタイプの田中くん。
同じ目線になって、もう片方の手で頬を包んだ。
嬉しそうな顔にこっちも笑顔になる。
「よく頑張ったね、偉いぞ〜」
柔らかいほっぺプニプニして、そっと髪を撫でた。
これが相当好きらしい。
あれ………いつもと違う視線。
思わず手を降ろしたらその上に手を重ねてきた。
確認した後に再び見つめ合う。
「田中くん…?」
えっと、顔近い………
もしかして、変なスイッチ入っちゃってる!?
退散せねば…!!
「マネージャーは僕の癒やしです……そんな困った顔しないでください」
「あ………ごめん」
「わかってます、僕がまだまだなことくらい。でもチャンスくらいありますよね?」
「えっ!?」
「やっぱり僕、諦めないことにしました」
「え、どういうこと…?」
「みすみす誰かに取られるとこ見てたくないので」
「えっと、ごめん……話が見えない」
「皆それぞれ、マネージャーが好きなんです……人として、上司として、一人の女性として。僕もうっかりしてられません」
「ちょっと待って…!言っとくけど皆、大事な部下!それ以外の感情はない!」
重なってた手から離れたらグッと迫ってきて資料棚に追い込まれた。
「本当ですか…?これでも…?」
