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不埒に淫らで背徳な恋

第7章 【愛欲に溺れるのは不修多羅ですか?】





「スッピン可愛いです」




缶ビール置いて洗面所に逃げる。
ドライヤーで急いで乾かす髪。
動揺してない、動揺してない…!!
この火照りは動揺じゃない。




ふいに見せた隙きにストレートに入ってくるから一旦整理してるだけ。
私、本当にあの手のセリフに弱い。




久々過ぎて田中くんでキュンときちゃうのはマズい。
本当に年下ばっか攻めるのやめたい。
また“年下キラー”だって言われちゃう。




リビングに戻ると
「トイレ借ります」と言われ案内する。
お互い冷静になれたかな…?
と思ったらシュン…として出てきて「帰ります」ってもう終電ないよ!?




「タクシーでも呼びます」って急にどうしたの?




「じゃあタクシー代…」




「いや、いいです……大丈夫です」




「ってフラついてるじゃん」




「もう僕のことは構わないでください」




「え、どうしたの?そんなフラフラじゃ逆に心配なんだけど!?泊まっていきなよ…」




本気で心配なんだよ……上司として。




「困らせちゃいます…やっぱり僕は男なんで」




「え…?何…?聞こえない」




嘘……聞こえてる。
フラついて座り込む田中くんの肩に触れてしまったから私……隙きを見せた。
お風呂あがりで乾かした髪はアップしてる。
そっとメガネを外されて少しだけボヤけた世界。




「あ……ソファー使ってくれていいから」




泊まりなよって言おうとしたのに優しく腕を引かれ抱き締められた。




「僕の気持ち知ってるくせにズルいです…」




「うん……知ってる」




って開き直るのはどう?
プハッと笑う田中くん。
それでもまだ腕の中。 
離してはくれないのね。




「少しだけ……このままでいいですか?」




「ん……」





どうしてあげるのが正解なんだろう…?
ギュッと強く抱き締められる腕の中で改めて田中くんは男なんだと気付かされた。




「凄く可愛いです……マネージャーが大好きです」




そのセリフが一瞬で脳を駆け巡りしまい込んでいた記憶を呼び起こした。








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