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不埒に淫らで背徳な恋

第8章 【本能のまま乱れ咲くのは愛と呼べるでしょうか?】





でも普通って何…!?
どう振る舞うことが普通なんだろう。
今日の月島くんや田中くんのように目を見て話せるのだろうか。
心の準備は出来てるの…?
声が上擦っちゃうとか逃げ出しちゃうとかしかねないだろうか。




時計の針はもうすぐ10時を差していた。
慌てて終わらせる。
パソコン持って移動しながら
「月島くん、打ち合わせしよっか」と声をかけた。




あーでもないこーでもないと次から次へと会話が出来てる。
大丈夫、普段通りの二人だ。
時折笑い合って議事録打ちながら具体案を述べていく。
これが本来の関係性なんだよね。




戻れるかな…?戻らなきゃね。
精一杯気持ちを伝えてくれてありがとうって素直に思ってるよ。
何となく気付いてて……放置して……
傷付けてしまったのは事実だけど。




昨日そんなことをメールしようかと悩んだけど結局止めた。




「ごめんね……これからもマネージャーとして支えていけるよう頑張るから」




議事録を打ち終えてちょうど話せるタイミングだったから小さくそう伝えた。
直接言うってことがせめてもの誠意だと思ったから。




「はい……でも、あんなマネージャー見れたのはラッキーでした」




「え?」




「初めて人間らしいとこあるなって」




「今までの私はどう映ってたのよ」




「完璧な人…です。でも違ってて安心。けどこれからはあんな脆いとこ、好きでもない男に見せちゃダメですよ?」




「はい……肝に銘じておきます」




「僕の方こそいつも通り接してくれて嬉しいです……大人だな〜もっと好きになったって言ったらどうしますか?」




私にだけ聞こえるトーンで会話してるから変に怪しまれないかな!?
見つめ合うのもおかしい。
真っすぐ前だけ向いて。




「丁重に断る」




「プハッ!それでいてこそマネージャーですね、これからもご指導宜しくお願いします」




隣で軽く頭を下げてくる月島くんにどう返すべきか考えてるうちにニッコリ笑顔まで見せてくれた。
意外と手強い……かも。




真っすぐ前を向いてお互いパソコンに目を落としながら作業していて、静かにする会話を誰にも聞かれないよう楽しんでいる。








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