不埒に淫らで背徳な恋
第9章 【無い物ねだりの先には報復だけでしょうか?】
焦点が合わなくとも彼の姿は捉えられている。
やっと捕まえた……
ネクタイごと引き寄せる。
「………せて」
掠れた声が消えていく。
「え…?」
「水……飲ませて」
仰向けのままだった身体を起こされ支えながら飲ませようとしてきた。
ゆっくり首を振り拒む私は手が塞がっている彼の唇を指でなぞり催促する。
理解してくれたのか口に含んだ水を自分から求めて唇を重ねた。
ゴクリ…と喉が鳴る。
糸が引く唇に「まだ欲しい」と再び唾液を吸う。
身体が熱い………
下着姿の自分に恥じらいなんてない。
むしろ、汗をかいたのか湿っている気がして少し気持ち悪い。
早く……脱がせて。
どこに置けばいいのかわかっていない彼の手を自分の背中に回させた。
起こされて支えられていたはずの私は気付けば彼に跨がり自ら唇を重ね合わせてる。
欲しい………今すぐ。
熱で体力なんてないに等しいのに性欲だけは旺盛らしい。
まるで繁殖期を迎えた動物のようだ。
瑠香さん………
早く熱っぽい声で名前を呼んで………
身体が火照って仕方ない………
頭がクラクラしながら躊躇してる彼にヤキモキしてしまう。
久しぶりだから…?
ここに来たのが答えなんでしょ…?
唾液を味わいながらホックを外した。
唇が離れて露わになった膨らみに彼の手を引いて触れさせる。
ここまでしないとしてくれないの…?
朦朧とした意識の中でただ彼を求める。
移りゆく体温が溶けていくよう。
お願い……触って………
私の弱いとこ……忘れてないでしょ?
激しく揉んでよ………
「もぅ…我慢出来ない……お願い」
唾液が糸を引いてる。
キスしながらネクタイもボタンも外した後。
吐息を漏らしながら首筋に舌を這わせてキスマークをつけた。
手は下に伸びて固くさせる。
ダメだよ……とその手を止められて酷く懇願した。
「ヤダ……お願い、快くん抱いて……快くんじゃなきゃダメなの」
言い終えた途端、視界がグラついてフッと暗闇に覆われた。
きっとそこで意識を手放したんだと思う。