不埒に淫らで背徳な恋
第9章 【無い物ねだりの先には報復だけでしょうか?】
重い頭が上がり後頭部がひんやり冷たい。
冷えピタは常備してあったので額に貼ってもらった。
枕元にミネラルウォーターを置いて帰って行く。
鍵がポストに落ちる音を確認したらすぐ眠りに落ちていった。
どのくらい寝ただろうか。
聞き慣れた音で目が覚める。
目を開いてもボーッとして上手く脳が回らない。
身体がまだ重い。
嗚呼……そうか。
この音は着信音だ。
ずっと鳴ってる。
でも携帯はカバンの中で部屋の入口付近に置かれている。
取りに行くのも億劫で、視線だけ捉えていた。
外はもう暗くなっていてカチカチ…と時計の音だけが静かな部屋に響いてる。
電気を点けなければ時間は確認出来ない。
携帯も手元にないから。
喉も乾いてる。
一人暮らしのデメリットをヒシヒシと感じながら布団を履いだ。
フラフラした足取りで部屋の電気を点け、カバンから携帯を取る。
ベットまで四つん這いで戻りミネラルウォーターに手を伸ばす。
あ……ダメだ、力が入らないから蓋も開けれない。
開けて…と言う相手も居ない。
ベットに突っ伏せる頭。
またクラクラしてきた。
熱……計らなきゃ。
その時、突然インターフォンが鳴り響く。
2、3回鳴って、今度はノックまでされた。
聞き慣れた声がドアの向こうから聞こえてくる。
「瑠香、僕だよ……春樹だ」
携帯の着信は全て彼からでメッセージもいくつか入っていた。
返信もないし既読もつかないから心配して来たんだと言う。
居ても立っても居られなくなったんだろう。
フラフラしながらどこかに掴まってないと前に進めないくらい。
視界も歪んでる。
熱が上がっているのを肌で感じていた。
ゆっくりドアを開けて外に居た彼の胸にストン…と収まった。
「瑠香、大丈夫か!?凄い熱だな、動かせてすまなかった」
フワフワと浮いている感じ。
きっと抱きかかえられてベットに寝かされたんだと思う。
服を脱がされ汗も拭いてくれている。
目は閉じたままだけど薄っすらと意識はあった。
瑠香………
瑠香さん………
Tシャツを着せられた時自然と拒んだ手。
火照る身体が本能的に司令を下した気がした。
マスクを外しゆっくり目を開ける。