不埒に淫らで背徳な恋
第9章 【無い物ねだりの先には報復だけでしょうか?】
もう終わりにしたい。
消したい。
変わりたい。
前に進みたい。
この手を掴めば私はどうなりますか…?
「私が欲しいですか…?」
「ああ、欲しい」
ゆっくり絡む視線は自信に満ち溢れていた。
もう迷っている自分に終止符を打ちたくなった。
「私……思ってるほど強くないです」
「わかってる、だから嫌と言うほど支えてやる」
「平気で他の人の名前…」
「その話はもういい…」
怒ってるんじゃなくて一瞬見せた穏やかな顔。
「嫌です……怒って問い詰めたらいいじゃないですか!?そんな女だと思わなかったって見限ればいいのに……」
トントンと胸を叩いて怒りをぶつける。
初めて春樹さんの前で泣きじゃくった。
叩く手を止められ力強く抱き寄せられた。
「そんな女に惚れてるんだよ」
「うぅ……う…」
「だから抱かれろ、な?」
「商談……決まったんですか?」
「お、鋭いね…」
そう言いながら耳を甘噛みしてくる。
いつもそうだった。
大きな商談がまとまった時の春樹さんは纏う空気が違う。
自信と情熱と……欲望に満ち溢れていると思う。
カーディガンとキャミソールの間に手を入れてきた。
「待って……こんな気持ちじゃ、失礼だから」
「悩んでても、迷ってても……全部欲しい……今のお前が欲しいんだ」
ギラついた瞳……少しだけ疼いた。
「後悔……しますよ?」
「何年待ったと思ってるの?あの時みたいにもう遠慮したりしないぞ」
「傷付くってわかってても、私が欲しいですか?私、春樹さんが思ってる以上に酷い女です」
「そうやって先に自分を悪くするところ、前から堪らなく好きなんだけど?」
もういいだろ、とばかりに肩で引っ掛かっていたカーディガンを脱がされ下に落ちてった。
キャミソールとホットパンツだけの姿になった私は真っすぐ彼を見上げてる。
両手を上げて首に絡みつく。
「私は後悔するかも知れない……」
キスするかと思わせて残酷な台詞。
それでも口角を上げてわかりきったようにほくそ笑む表情にゾクゾクした。
離すまいと抱き寄せられる腕の中で。